むかし、2度目の堕胎をした時かする前か忘れたけれど、
夢の中に死んだじーちゃんが出てきた。
じーちゃんは怒っていた。
無言で、しかめ面をして。
「ごめん…ごめんじーちゃん、こんなどうしようもない事ばっかりして…」
無言の圧力にうつむいてしまう。
…これは母が見た映像なのだろうか。
はじめて堕胎した時、自分の過去の罪にやっと罰がおりたと感じた。
わたしはこの罰を恐れながらも待っていた。
だから、どこか肩の荷がおりたような気がした。
この罰に辿り着くまで、これでもかこれでもかと自分を追い込んできたように思うから。
2度目の堕胎は、わたしにとって本意ではなかった。
そうするしか方法はないと理解はしていた。
そう思っていたからこそ、本意ではなかった。
そう思っていたのなら、避けるべきだったのだ。
防ぎきるべきだったのだ。
だから、とても強いダメージを負った。
そしてじーちゃんの夢を見た。
じーちゃんは、わたしの行いに怒っている。許さないと言っている。
ごめん、ごめん……。
「このままじゃダメなんだ」
「ここに漂っていてはダメなんだ」
「わたしはしあわせになりに行かなければならない」
…この頃はまだ弟は生まれてこれなかったのかもしれない。
そののち、自分の意思で授かりたくてあなた達を授かった。
そしてあなたの願いどおり、あなたを生みおとした。
わたしの願いどおり、あなたを生みおとした。