スペクトラムしい日々

自閉症スペクトラムの娘と家族、母の日常をゆらゆらと書き綴ろうと思います

本人告知への道⑤

運命の5年生・・娘にとって、踏んだり蹴ったりな1年だったかもしれません。

新年度からいやな予感はしていました。
支援級の中で1番評判の悪い先生が、娘の担任になったからです。
しかも男性・・
わたしの理想からはかなりかけ離れてしまいました。
しかし、わたしは前向きな人なので、
出会う相手には
「この人はいい人なんだ」
から入っていくタイプです。
いろいろ噂は聞くけど、それなりに話せば、それなりでも返ってくるのでは・・
そう前向きにとらえていました。
また、娘がわたしの担任に対する悪い印象を察知するのもよろしくないので、
担任に限らず誰に対しても、
わたしの相手に対する印象が、娘の先入観にならないように
気をつけていたつもりです。
なので娘に限らず子どもたちの前で、
親戚でも友だちでも先生でも、
子どもや私たちに関係する人たちのことを悪く言わないように心がけてきました。
だから担任に対してもそうしてきたのですが・・
それ以前に、娘の反応も今ひとつな印象でした。
そんな中、やはり4年生からの思いが切り替えられないでいた娘は、
「支援級じゃなくて協力級に行きたい」
という思いが強くなっていったようです。
4年生の冬に
「転校したい、引越ししたい、リセットしたい」
とこぼしていたけれど、
「いざという時は転校は有りだけど、引越しは無理だな・・」
と思いましたし、転校自体、本当に今必要なのか、まだほかの手立てがあるのではないか・・
そう考え、娘の訴えを聞いて受けとめる・・という対応でした。
しかし、籍を移すとなると・・
不可能ではありません。
ただ、年度途中の移籍は無理なので、とりあえずそれに近い形を整えるくらいでしょうか。
あと1つ、わたしは基本的に移籍には気がすすまなかったのです。
本人の意思の尊重もへったくれもない話ですが、わたしの脳内には
「このまま中学まで支援級で手厚くしてもらって、高等支援学校、そして障がい枠で就職・・」
という道すじを想定していたのです。
だから、通常学級に移ることが、娘にとってどれだけのメリットになるのか
全くつかめませんでした。
逆にデメリットのほうが多いじゃない・・
国語算数は、とりあえずついていってるけど、支援級でていねいに教えてもらっているからでしょ? 算数なんてこれからもっと複雑になるのよ、証明とかめちゃくちゃ苦手じゃない?
それより何より、人間関係どうなの? 通常級に入ったからって、実際は何も変わらないのよ、みんなはあなたが籍を移したとかはどうでもいいの、みんなには今までと同じあなたでしかないの、あなたが変わらなければ。
そして困ったことを担任の先生に伝えられるの? 助けを求められるの?
・・とにかく、籍を移す気持ちはハナからありませんでした。
それがある時・・
その頃の娘のあれこれを親の会のお母さんに聞いてもらううち、
「ああ、娘はそうやってチャレンジしたいんだ・・そう思ってしまった以上、それを反対したり説得しても、娘にとっては自分を受け入れてもらえなかったという思いしか残らないんだろうな・・
これはもう、娘がそう望んだ時点で、一緒に進むしかないんだ・・」
と、悟りのようなものが舞い降りたのであります。
もちろんわたしには、この選択が失敗に終わる確率が、
決して低くはないと感じていました。
だけど、成功する確率はゼロじゃない。
少なくとも、それを望んだ娘の意思、それを大人側が受けとめて認め、協力・応援してくれた・・
それが娘にとっては、何ものにも変えがたい、心の財産になるのではないかと確信できました。