スペクトラムしい日々

自閉症スペクトラムの娘 (14歳) と家族、母の日常をゆらゆらと書き綴ろうと思います

海の上の蜃気楼

山育ちのせいか海のある街に住みたかった。

幸い車を少し飛ばせば海を見に行ける。昔も今も。
海水浴は好きでも嫌いでもなく、そういう感情すら湧かなかったが、海には時々無性に行きたくなった。
見に行きたい、会いに行きたい。
夏真っ盛りの海はどちらかというと苦手で、むしろ季節はずれの海を見るのが好きだ。春のはじめの海、晩夏の海、真冬の海・・。
最北に近い真冬の海で波の花を見たことがある。
沖から吹いてくる強風に凍えながら、時間を忘れるようにただただ波が寄せ返すのを無心で見ている。
波の花はあまりきれいではなかった。
海の中の腐敗物を排除するように、波がこねくり回し
岸へ押し出そう押し出そうとしているようだ。
力ずくで清浄を保とうとする強引力。
そんな海の圧倒感に
ただ無心でいられるのかもしれない。
海洋の圧倒的征服力を浴びて
自分の中の腐敗物も一緒に
波に流されて行くような爽快感が
忘れた頃、また海に引き寄せられるのだろう。