スペクトラムしい日々

自閉症スペクトラムの娘と家族、母の日常をゆらゆらと書き綴ろうと思います

結の行方(登校刺激の頃の記録から)

今週は体育のドッヂボールで、娘がボールを取りに行く構えをしていた。

 

金曜日の放課後、先生が娘に
「頑張りましたね、来週もおいでね」「あ、はい」
先生の声かけにハイハイと返す相槌が、何となく軽々しく感じられて
「とりあえず『はい』って言っとけ、って思ってたでしょ」と聞いてみると
「そうだよ」
だって。
そのふてぶてしさが逞しい。
 
月曜日。
今日は天気も良いし、早起きもして時間に余裕があるので、歩いて行かない?と提案してみた。
んー…と言ったまま、ウンともイヤとも言わない。
結局、歩いて間に合う時間が過ぎつつあるので
「車で送ろうか?」と言うと、少しホッとしたように「うん」と答えた。
車で学校のいつもの駐車場に停める。
いつもは当然のように、何も言わず、一緒に車を降りて玄関へ向かうのだが。
「今日は教室までついていったほうがいいかい?」
とりあえず、教室の「なか」には入らない前提で確認した。
「んー、どっちでもいいや」
「わかった。じゃあ玄関までついていく?」
「…いいや」
「よし、じゃあここでだね。いってらしゃい、帰りにね」
娘は返事もせず軽く微笑んで、玄関に向かって歩いて行った。
一度もふり返らず、立ち止まらず、前かがみではないまっすぐな姿勢で。
その姿を、私は見えなくなるまでじっと見つめていた。
最後に見せた表情は、穏やかそうに見えた。